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ふれんぞくさつじんじけん

不連続殺人事件

坂口 安吾

「日本小説 第一巻第三号~第二巻第七号」1947(昭和22)年8月1日~1948(昭和23)年8月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,047 字 · 322 页

青空文庫

「なるほど。すると方向は逆ですが、どちらも始発ですから、村の停留場まで三宅さんと御一緒ではなかったのですか」

「F行の始発は三十分ほどおそいから、一緒ではありません。それに、私たちは、F町へ行くときは、N村へでずに、T部落の停留場へでるのです。距離は殆ど同じことで、この家から、だいたい僕の並足で、どちらも、一時間十五分ぐらい、ただし下りの場合ですね」

「T部落と申しますと、どちらの方へでるのですか」

「つまり、ブナの森を通り、鉱泉宿を通りこして九十九折を降りて行くとT部落の停留場へでるのですよ。ここから鉱泉宿まで、半里余り、鉱泉宿からT部落までは、一里まではありませんが、合計して一里半ちかくはあるでしょう」

「ハハア。そんなコースもありましたか」

カングリ警部は珍らしそうな顔。こんどは丹後に向って、

「丹後さんは局長の碁会に出席される筈のところが足が反対側へ歩きだしたということですが、実は私もヨミスギと二人、局長の碁会にでておりまして、御手合せをたのしみにしていたのですよ。要するに丹後さんも、自然に足がF町をむいて、やむなくブラブラという口でしょうが、何時のバスに乗られましたか」