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ふれんぞくさつじんじけん

不連続殺人事件

坂口 安吾

「日本小説 第一巻第三号~第二巻第七号」1947(昭和22)年8月1日~1948(昭和23)年8月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,047 字 · 322 页

青空文庫

と、丹後が冷笑するように言う。

「まア、それは別と致しまして」

と、神山弁護士、話をさばくに巧みであるが、文士が相手じゃ、うるさいもので、

「何が別なの?」

と、丹後がきく。神山はちッとも騒がず、

「まア、そのサバキは最後に探偵におまかせと致しましょう。この七人の殺人事件のうち、大別して二つに区分することができますな。第一が、我々のうち、誰でも犯人でありうるもの、これは、王仁殺し、珠緒殺し、多門殺しの三件で、多門先生の毒殺も砂糖壺にモルヒネを入れるというのは、誰にもできた筈ですよ。第二が、特定の人しか出来ない場合、これは千草殺し、内海殺し、加代子殺し、宇津木殺しの四件で、ある人々は完全に犯人であり得ない。この完全に犯人で有り得ないという人物を、一人ずつ、取りすててみたら、いかがでしょう。そして、どうしても容疑者を免れ得ないという人物に不服があったら、釈明をきいて、我々全員を陪審員に、ひとつ判定を下そうじゃありませんか」

誰も返事をしなかったが、神山東洋は平気なもので、

「先ず、千草殺しの場合ですな。火葬場からの戻り道、単独で戻った人は、みんなケンギをまぬがれない。