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ふれんぞくさつじんじけん
不連続殺人事件
「日本小説 第一巻第三号~第二巻第七号」1947(昭和22)年8月1日~1948(昭和23)年8月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,047 字 · 322 页
然し、そんなことよりも、問題は、私が便所へ行ったか、それをピカ一が見たか、ということじゃないか」
「まア、まア、矢代さん。これは単なる可能性を論じているにすぎないですよ。あいにく、土居画伯は酔っ払って、当時の記憶はハッキリ致しておらぬ始末で、そこにつけこんで、私は目下、単なる可能性の限界を申上げているのです」
「だからさ。ピカ一の酔っ払っていることをとりあげる以上、丹後の部屋から遠方だけを問題にするのは当らないさ。一馬も、巨勢博士も、便所へ行くことができた筈だ。外へでられなかったのは、あやかさん一人だけじゃないか」
「まったくです。これは私の推理のあやまりでしたな。なるほど、丹後さんを限界においたのは、おかしいですな。一馬さんも、巨勢さんも、便所へ行けない筈はなかった。然しですな。あの晩の状況より推察しまして、一馬さん、巨勢さんなど、近い位置から扉をあけると、土居画伯は噛みつくように怒鳴りつけるにきまってますよ。するとですな、土居画伯は酔っ払って翌日の記憶にないかも知れませんが、私たち、室内の者は、土居画伯の喚き声によって、その状況を知ることができた筈です。