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ふれんぞくさつじんじけん

不連続殺人事件

坂口 安吾

「日本小説 第一巻第三号~第二巻第七号」1947(昭和22)年8月1日~1948(昭和23)年8月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,047 字 · 322 页

青空文庫

彼らもそれを望んでいるが、僕らも実は助かる。彼らは退屈まぎらしのつもりだけれども、僕らは奴らだけじゃ息苦しくって、ほかに息ぬきのできる人たち、木ベエにしろ小六にしろ、居てくれた方が助かる。まぎれる。別して君には是非とも来てもらいたいのだ。木ベエも小六も来ることになって、実はあさって一緒に出発することになっているんだがね」

「宇津木さんもか」

「むろん一緒だ。胡蝶さんもくる。その為に一夏舞台を休む事にした程だから」

女流作家宇津木秋子は今はフランス文学者の三宅木兵衛と一緒にいるが、もとは一馬の奥さんだった。もともと話合いの上で別れたことで、文学者同志のことだから、あとは綺麗なものだけれども、問題は一馬じゃなくて、望月王仁だ。疎開中、当時一馬夫人だった宇津木秋子と木兵衛と話がすすんで、終戦、東京へ引上げるという時に話し合いの上で一馬が離婚を承諾した。一馬も元々秋子にてこずり、殆ど未練はなかったのである。

秋子は非常に多情な女だ。疎開中は木兵衛よりも王仁と交渉が深かったのだが、王仁の奴が全然貞節の念をもたない奴で珠緒とも関係があり、女中だの村の娘だの八方に情痴沙汰、秋子なんぞは食後の果物、オヤツ程度にしか心得ていないから、秋子もあきらめて、木兵衛と一緒になった。