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ひかりはかげを

光は影を

岸田 国士

彼を待つもの「キング 第二十六巻第四号」1950(昭和25)年4月1日、はるかなる青春「キング 第二十六巻第五号」1950(昭和25)年5月1日、〔欠題〕「キング 第二十六巻第六号」1950(昭和25)年6月1日、兄の立場「キング 第二十六巻第七号」1950(昭和25)年7月1日、ある少女の役割「キング 第二十六巻第八号」1950(昭和25)年8月1日、父の孤独「キング 第二十六巻第九号」1950(昭和25)年9月1日、愛と死と生の戯れ「キング 第二十六巻第十号」1950(昭和25)年10月1日、運命に逆うもの「キング 第二十六巻第十一号」1950(昭和25)年11月1日、変転の外に「キング 第二十六巻第十二号」1950(昭和25)年12月1日、この日あるがために「キング 第二十七巻第一号」1951(昭和26)年1月1日、二つの未来図「キング 第二十七巻第二号」1951(昭和26)年2月1日、希望の羽ばたき「キング 第二十七巻第三号」1951(昭和26)年3月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 138,262 字 · 276 页

青空文庫

と、その時、南条己未男は、

「いけねえ、おれはどうかしてるぞ。おい、美佐ちやんは、いつたい、なんだ、あれや……。新聞に本名が出てたからわかつたんだが、まさか、間違いじやあるまい?」

京野等志は、黙つて、うなずいた。

「やつぱり、ほんとか。おれは、ちよつと、悔みにも行きにくかつたんだ。実のところ、おふくろさんの顔をまともに見られやせんぜ。可哀そうなことをしたなあ」

京野等志は、こういう時の、南条己未男の口下手をよく知りぬいていたから、こつちも、いちいちそれに応じる手間をはぶいていた。

が、それから、話が、家族の一人一人の上に及び、南条己未男は、この日はじめて、顔をやゝ赤らめながら、奇妙な告白をしたのである。

「おれは、学生の頃、ひそかに、多津ちやんに憧れていた。多津ちやんがお嫁に行き、おれが兵隊に取られる頃まで、今度は、むやみに美佐ちやんが好きになつた。むろん、誰もそんなことは知りやしない。兵隊から帰つて来ると、美佐ちやんはもう家にいなかつた。お前と小萩さんの関係に、ちよつと似てるだろう。美佐ちやんが、芸者になつてるのを知つた時、おれは、脳天をぐわんとやられたにはやられたが、それでもまだ、芸者なら、いつかなんとかなると思つて、実は、金を溜めようと決心したんだ。