轻松读懂日语经典作品
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ひかりはかげを
光は影を
岸田 国士
彼を待つもの「キング 第二十六巻第四号」1950(昭和25)年4月1日、はるかなる青春「キング 第二十六巻第五号」1950(昭和25)年5月1日、〔欠題〕「キング 第二十六巻第六号」1950(昭和25)年6月1日、兄の立場「キング 第二十六巻第七号」1950(昭和25)年7月1日、ある少女の役割「キング 第二十六巻第八号」1950(昭和25)年8月1日、父の孤独「キング 第二十六巻第九号」1950(昭和25)年9月1日、愛と死と生の戯れ「キング 第二十六巻第十号」1950(昭和25)年10月1日、運命に逆うもの「キング 第二十六巻第十一号」1950(昭和25)年11月1日、変転の外に「キング 第二十六巻第十二号」1950(昭和25)年12月1日、この日あるがために「キング 第二十七巻第一号」1951(昭和26)年1月1日、二つの未来図「キング 第二十七巻第二号」1951(昭和26)年2月1日、希望の羽ばたき「キング 第二十七巻第三号」1951(昭和26)年3月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 138,262 字 · 276 页
兄の立場
一
家ありて人は哀し
歓びは甘き忍従
憩いは恥じ知らぬ限り
家こそは愛と憎しみの嫡子
はた、夜と昼との落し子
恩恵の重荷に堪うるもの
ただ奉仕の鎖
威圧は熱風と吹き
沈黙は冷雨と注ぎ
ひそかに忍びよる功利の波は
巧まざる迎合の磯に打ち寄せ
みよ、強いられし笑いの後に来るもの
得々たる泣訴哀願
時に身振多き団欒の図はあれど
そは人形芝居、仮面劇
男女老若登場の道化一幕
あに、われひとりピエロたり得んや
扶養の義務とはなんぞ
これ善意の搾取にあらざれば
憤懣の去勢
人は人たることをやめて
ひたすら肉親の変化たらんとす
京野等志は、この詩のようなものを、三度繰り返して読んだ。他愛のない楽書のようでもあり、弟深志の痛切な叫びのようでもある。この幾行かの呪詛の文句を、彼は、味うともなく味つてみた。
兄の立場
一
それから数日後のことである。夕飯をすまして、いつ時雑談がつゞき、母の弓が風呂の加減を見て来いと姉娘の多津に言いつけていると、そこへのつそりと深志が帰つて来た。
「今日は早いんだなあ」
と、兄の等志は、ひやかし半分に言つた。毎晩十二時近くならなければ家の閾をまたがぬ習慣がちかごろついているからである。