轻松读懂日语经典作品
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ひかりはかげを
光は影を
岸田 国士
彼を待つもの「キング 第二十六巻第四号」1950(昭和25)年4月1日、はるかなる青春「キング 第二十六巻第五号」1950(昭和25)年5月1日、〔欠題〕「キング 第二十六巻第六号」1950(昭和25)年6月1日、兄の立場「キング 第二十六巻第七号」1950(昭和25)年7月1日、ある少女の役割「キング 第二十六巻第八号」1950(昭和25)年8月1日、父の孤独「キング 第二十六巻第九号」1950(昭和25)年9月1日、愛と死と生の戯れ「キング 第二十六巻第十号」1950(昭和25)年10月1日、運命に逆うもの「キング 第二十六巻第十一号」1950(昭和25)年11月1日、変転の外に「キング 第二十六巻第十二号」1950(昭和25)年12月1日、この日あるがために「キング 第二十七巻第一号」1951(昭和26)年1月1日、二つの未来図「キング 第二十七巻第二号」1951(昭和26)年2月1日、希望の羽ばたき「キング 第二十七巻第三号」1951(昭和26)年3月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 138,262 字 · 276 页
三
彼女は涙にくもつた眼を、そのまゝ彼に向けて、むしろ憐むように、言葉の終りを低く溜息のようにぼかした。
三
「さ、もう、お帰りになつて……。いつまでもこんなお話をしていてもきりがないわ」
京野等志は、苦笑した。なにか相手の姿勢を崩させるような名文句はないかと考えているうちに、小萩は、つと起ちあがつて、奥へ姿を消した。障子にうつる日射しが急に明るく彼の眼にうつつた。彼は、今さらのように部屋のなかを見廻した。床には、稚拙な南画風の軸がかゝり、紅梅の枝が月並に生けてある。ナゲシに眼をあげると、そこには三ツ叉のヤリが物々しく飾つてあつた。なんとも退屈な部屋の空気である。彼は席をはずして、障子を開け、坪庭のドウダンと松の植込みをぼんやり眺めていた。
「なにを見ていらつしやるの」
小萩の声に、彼は、振り返ると、反射的に言つた。
「僕、もう失礼します。このまゝ黙つて帰ればいゝんでしよう? ご主人によろしく……」
彼は、立つたまゝ頭を軽くさげ、大股に内玄関の方へ歩きだした。
「お怒りになつちやいやよ。なにもかも、あんまり不意なんですもの……」
と、彼女は、しんみりと、彼に寄り添うように、口の中で呟いた。