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ちからもち
力餅
島崎 藤村
「力餅」研究社、1940(昭和15)年11月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 65,974 字 · 130 页
四 せみの送別会
三人の子供も大きくなりました。おじいさんはよろこびまして、こう声をかけました。
「待て、待て。今におてんとうさまがお前たちをいいくりの子供にしてくださる。」
四 せみの送別会
せみの送別会。
いよいよせみも暗い土の中から出て行くこととなり、古いからをぬぎすてる時が来ましたので、土のもの一同よりより相談して、このせみのために送別会をもよおすことになりました。
世話ずきなむぐらもちは幹事を引き受けましたが、土に住むものばかりで、そう思うようにしたくもできません。なんでもありあわせの品で間に合わせることにしました。ごちそうはありの引いて来たもので間に合わせ、食卓のさらはむぐらもちがさがしてきたどんぐりの実のおわんで間に合わせました。そのために、この世話ずきな幹事はわざわざかしの木の下まで土を持ち上げに行ってきました。
一同が集まりましたところで、みみずが立って、送別のあいさつを述べました。このみみずはからだをこごめたりのばしたりするくせがあるので、その席に集まったものはみな笑いましたが、しかし清い声で、言うこともはっきりとしていました。みみずに言わせると、せみは同じ穴の中にばかり眠っていたように見えたが、今日になってみるとそれが長い長いしたくであったことがわかりました。