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かいじんとしょうねんたんてい
怪人と少年探偵
江戸川 乱歩
「こども家の光」家の光協会、1960(昭和35)年9月~1961(昭和36)年9月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 36,648 字 · 74 页
どのへやもあきやのように、からっぽなのに、そのへやだけは、いっぱいものがおいてあるのです。
「や、これはどうだ。よくもこんなにあつめたな」
中村警部が、びっくりしたような声をたてました。
それは人形のへやでした。洋服屋のショー・ウィンドーにあるような、男や女や子どものマネキンが、おもいおもいの衣しょうをつけて、二十個ぐらいも立ちならんでいるのです。人形怪人といわれるだけあって、人形をあつめるのが道楽なのかもしれません。
一方には、ガラスばりの陳列だなのようなものが、おいてあって、その中に、いろいろな宝石や金銀のかざりものが、ピカピカと光っています。人形怪人が、ぬすみためたものでしょう。
「あっ、あの人形、うごきましたよ」
小林君が、いちはやくそれに気づいてさけびました。
すそのひらいた洋服をきた、かわいらしい少女人形が、りっぱなせびろをきた紳士人形に、つかまえられて、身もだえしているのです。たしかにうごいているのです。
「ははははははは、人形にばけるとは、うまいかくればしょだったね。しかし、もうだめだよ。そのお面をぬいで、こちらへ出てきたまえ。きみがつかまえているのは、野村みち子ちゃんじゃないかね」