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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

08 一九四一年(昭和十六年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 230,599 字 · 458 页

青空文庫

あなただってそうお思いになるわねえ。眼の吊ったユリなんて、余りぞっとなさらないでしょう。

それにしても、いつも精一杯に暮すということは何といいでしょう。沁々そう思います。精一杯に暮すために、ついいろいろのこともあるが、勉学のやりかたにしろ、やはり段々つかむところがあって。

この前職業につけたひとも今はむずかしいでしょう。映画でもなかなか返事して来ない由。ねえ。

四月一日から、バス、市電、ラッシュの時間に急行になります、お米も切符になります。一人一日私たちの職業で二合五勺です。子供は年で区切られていますが、なかなかたべるから(大人よりも)大変でしょう。ジャガイモ、甘藷、パンなかなかないので閉口。うちは一人二合五勺だとどうやらやって行けましょう、一度すっかりはかって見てたかなくては。お客をするということもなかなか出来ません。昔のようにみんな持ちよりしてくれなくては。何でも現金が主になって来ていて、勤人は誰も苦しいでしょう。炭の配給、そら金。米、そら金。八百屋、ソラですから。一般的に貧乏しているのだが、現金のないところの窮迫はさぞひどいでしょう。どこのうちも百円でやっていたところが倍ですね。