轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
08 一九四一年(昭和十六年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 230,599 字 · 458 页
仰云るように、私は二階がりのつもりでね、一生懸命にすることをやりましょう、それでさえいろんなこまかいことはすっかり違ってしまうのです、私はそれがどんなにいやでしょう。第一あの玄関へ私を訪ねて来る人の心持は、ここの玄関へ来たときのその人の心持とはもうちがうのです。ここの家へ来ると、そのひとが自分の親切は小さいことでもここでは役に立つのだと知る、そういうそのひとの善意が自然に流露することさえ変ります、こんな家にいるなら、自分の思っているこんなことと、よい意味で謙遜したって、そういうことになってしまう。いやね。それを思うと、又、黒煙濛々です。
でもまあ、度胸をきめましょう。辛さにもいろいろあるというわけをよく知ってね。一方のいやさをなくしようとして、もっと本質的な、時間の経過によって消されない生活の結実を喪っては大変だという考えからだけ、どうやらやっと肚をきめるのね。こんなに骨を折ったことは、近年にないことだと思います。
でも、もしかしたら大局的にそういうきまりのついた方が、あなたとして御安心なところもあるかもしれないとも思えます。それもそうだ、というところもあるでしょう? 生活の複雑さ、微妙さ。