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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
08 一九四一年(昭和十六年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 230,599 字 · 458 页
五月三十一日
六月六日
時々そちらをながめます。大島の絣が柔かく華やかに見えるというのは大変面白いことね。こういう風にまじっている光景の珍しさ。ごみだらけの顔で眺めて居ります。
五月三十一日 (消印)〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(紀伊田辺・文里港の写真絵はがき)〕
このエハガキが戸棚から出ました。きっと去年だか戸台さんがお国へかえったそのときのでしょう。あのひともお嫁さんが九分どおり出来たのに、まだきまりません。お母さんが後家さんで決心しないのね、故に、上の息子はいつの間にかおかみさんをもちました。上の姉は、母さん私およめに行くわとふろしき包を一つもってゆきました、妹は戸台さんのところへそうしてはゆかないらしい様子です。
六月六日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕
六月六日 第二十七信
きょうは、本ものの暴風ね。私は妙なところでこれをかいて居ります、下の茶の間の隅のカリンの机で。二階をふきこむのですっかり雨戸がしまって居て、ランプつけて今頃いやでしょう、ですからここへ来ました。
二日づけと三日づけのお手紙、ありがとう。一どきにつきました。学燈の本のこと。ありがとう。