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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
08 一九四一年(昭和十六年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 230,599 字 · 458 页
――そのお気持もわかるでしょう?
九時四十二分の上りで立つので、輝を野原のおばさんがだっこして、友ちゃんは持ってゆくふくろもったりして、それでもあの町筋では目のそばだつ一行が駅へ着いたら、切符は入場券六枚というので、それで友ちゃんの姉さんの文子さんやおせむさんや私たちが入り、うちの時計がすすんでいるというので安心したらもうぎりぎりでした。すぐ汽車が来て、大いそぎでのって、達ちゃんはパナマの帽子を振るものだから、それが白くてずっとずっと先まで見えました。ずっと遠くで、橋のあたりで又一しきり高くふるのが見えました。組合のひとたちは構内に入れないから、そっちの畑の方に出ていたのです。白い帽子が見えなくなって、それから暫く立っていて、それから家へ戻りました。
うちの二階は、床の間にお母さんが端午のお祝の兜と太刀をお飾らせになって脇には花が何とか流に活かって飾られました。二階の六畳のつき当り一杯に友子さんのタンスがはめこまれていて、うちの様子は随分変って居ります。そんなものを眺めながら野原の小母さんと休んでいて、おひる皆でたべて「もう広島へついてじゃろう」