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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
08 一九四一年(昭和十六年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 230,599 字 · 458 页
九月はじめのお手紙で、マンネリスムのポーズに陥ることについての戒心がかかれていて、あれは全くのことですが、でも、自分の仕事として本当に自分がアペタイト感じる迄つきつめて行って見ると、とどのつまりはやはり何かの点で、いくらかでも勉強の重ねられたものでなければ満足出来ないから、そこは面白いものね。同時にユリが、器用人でないことの有難さよ。先生になることに皮肉を感じているありがたさよ、ね。
白揚社と万里閣から、女の生活についての本の契約があって、それは、こちらよりも自分で早く目あてがつきます。一つの方には一寸面白いプランあり、これも勉強がいるのよ。それはいずれまた。白揚社の方の本では、益軒の「女大学」、それから女のひとの書いた庭訓と当時の文学にあつかわれている女と川柳などの女の生活と、その関係を見きわめながら明治へそれがどう流れこんで来て、今日どう変化しているか、そういう点を見たいの。(つい書いてしまったわね、いずれ又なんかと云いながら)さし当りこの三つを目前にひかえてフーフーの態です。こういう種類の本三つもかけば、小説が書きたいわねえ。実に書きたいわねえ。