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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
08 一九四一年(昭和十六年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 230,599 字 · 458 页
ました。珍しい正月でした。
丸い私が陽気に羽子をつく姿はなかなか見ものらしうございます、相当なものよ。あなた凧上げお上手でしょうね、ふっとそんなこと思いました。この辺ではまだ凧上げていないわ、風がない日ですからかしら。
三日だけは、うんとのびるつもりです、つまりきょう一日は。
それから又例によって〆切りでしょう。これが一区切ついたら、ずっと仕事を整理して、長いものをこねはじめます。
きょうは、うちへ三人の姉弟妹のお客です。二十二、十九、十六という。けさはおKちゃんの兄が豊橋へ幹部候補生の学校で来ているのが、休暇で福島へかえったのが、かえりにより。この家の人たちは、実にうちへ来るのよ、やっぱりあの子がああいう生理だったから心配しているのでしょうね、何だか大変明るくよくなっているのでうれしいと云っていたから、まアようございます。考えると可笑しいわ、つまりうちでは少々もてあまし気味だったのね。でもこちらではいないよりよくて、本人がましになってゆれば、結局は互の仕合わせというわけでしょう。しかし、そういう信頼のエゴイスティックなところ可笑しいわね、だって、うちへよこしておけば大丈夫というのはこっちの責任だけ勘定して、自分がそういう娘をよこすということについての責任は勘定に入れていないのだもの。