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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
08 一九四一年(昭和十六年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 230,599 字 · 458 页
ああいう猛烈な破壊の画面の連続だとさすがに見る人々のかえるときの顔がちがいますね。暴力というものの凶悪さが心にしみるのね、やっぱり。一種の侮辱を蒙っている感もあるのでしょう。威カクだもの。
二十九日には、かえりに講談社へよりました。あすこは事務所の設計です。はじめて入ってみて、何だか余り建物と内容とがちぐはぐで妙でした。建物は堂々としていて端正で正統的なんですもの。その中にいるのが講談社でねえ。ここが出来たとき父が挨拶させられて、建物がこんなに合理的に出来たからどうか内容もそれにふさわしく発展するようにと云ったと云って笑っていたことがありました。『キング』には思い出があるのよ、ずーっと昔短篇をたのまれたことがありました。やさしく、やさしくと。私は随分やさしくかいたのだけれどことわられて以来縁なし。やっぱりこれは純文学ですからという意味で返却されました。何でも鎌倉のホテルの何かをかいたと思います。地図はね、行ったら無いというの。だって私がきのう、と談判してやっと出して来ました。無いことになって居りますと云っていました、どういうわけなのか。だから小売屋の小僧が行ったってないわけね。