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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

08 一九四一年(昭和十六年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 230,599 字 · 458 页

青空文庫

きょうからお恭ちゃんは、月・水・金と近所で洋裁の稽古に通います。六時からはじまります。御飯がすっかりくり上ります。でもマアいいやと思うの。夜がそれだけのびますから。六時―九時。歩いて十分以内のところで大通りです。目白通りの先の左側の交番ね、あのずっと手前ですから。はりきりです。ああいう気質の娘は大変むつかしいのね。この頃いろんな調査表がまわって来て、お米にしろ、家の中の成員をかきます。そのとき女中さんでは絶対にいけないのよ。それが、いけない感情のよりどころが下らないところなのだが、それはうんとつよい。その洋裁の願書でも私とのつづきがらというところへ、私の友人の妹と書くのよ。ほっとした顔しています、そう書いてやったら。こんな気持。一事が万事です。今の若い女の子の心持という部分と、このひとのものと半々ね。なまけもののところがあるから、自分のやりたいこと一方にしていればそのことのためにくされないでしょう。ひとを置くこともあれこれと、ね。

さて、ピアノの物語ですが、それは開成山の小学校にピアノを昔寄附したのです母たちが。古いのを。それがガタガタになって、この頃は郡山に放送局も出来たしなおしてくれと云われ、それは千円もかかりしかも命は五年というのでそれに一寸足してホールゲールというのを買ってやって、国君はピアノ