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いしかりがわ

石狩川

本庄 陸男

「石狩川」大観堂、1939(昭和14)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 253,535 字 · 506 页

青空文庫

新しい政府であるならば、なるほどと合点させる新しい手段によって既往の悪を刈り取らねばならぬと思った。そうしなければ、その土地の住民は胸を割ってみせないであろうし、むろん事あれかしと覗っていたオロシャは逼塞しないであろう。――そして、これは彼の予想の通りであった。赤えびす共の侮蔑は却って露骨になった。文官のみに限られたこちらの防備を見て取ったのだ。それ故、黒田清隆の任命に期待したこと彼より大なるものはなかった。その方針をあきたらぬとする岡本権判官や、政府の弱腰を嘆く丸山外務大丞の挂冠を横目で見送って何らの痛痒をも感じなかった。むしろ彼らの人間的な欠陥や時代的不誠実に嫌悪をさえ覚えた。だが、そうして、あとに残ったものとして当然この現地にある部署を襲うと、怒りはあの人たちと同じような調子で湧いて来るのだ。どう考え直しても、結局のところは実力に訴えねば解決しそうになかった。そもそも二つの主権が同じ土地に雑居するということが不自然きわまる。占拠か抛棄かだ。同一の場所に平均することは出来ない。そして、どちらか一方がきずつき斃れるまで争わねばやまぬのである。この、日毎に訴え出られ、また彼らみずからも見聞するいざこざは、このままの現状をどこまで維持しても解決されないことである。