轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

いしかりがわ

石狩川

本庄 陸男

「石狩川」大観堂、1939(昭和14)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 253,535 字 · 506 页

青空文庫

そういう妹婿に、泰亮は何かいたいたしいものを感じた。こんな風にぼんやりしたうつろな義弟をはじめて見るのだ。

休息が必要であった。彼は云った。

「時刻も更けたゆえ、何分とも明日のことにして、今宵はご寝所にお引き取り願おうか」

「何か一口その前に」と主婦は台所にふり向いて、「まだか――」と立ちあがった。

「いえ、欲しくはございません」

「でも――」と彼女は大沼喜三郎に眼をうつした。

阿賀妻は深い眼をしばたたいた。彼はそのとき明瞭りと、身辺を護ってくれた大沼の存在に気がついた。それが主君の意志であるという先程の話も思いだした。つまり自分を取り戻したのだ。

「甚助――われら、ともどもご厄介になりますぞ」と彼は下男に云って、大沼に向きなおった、「それでは折角のことゆえ一膳ちょうだい致しましょうか、おぬしも、このたびは、とんだ飛ばっ散りを受けましたな」

二人を奥座敷に送りこんだあと、都築泰亮は下男相手にいつまでも酒を酌んでいた。阿賀妻の身辺をねらうものありという悪い噂に警戒するのがその一つであった。甚助の語る今宵の様子には容易ならぬものが感ぜられた。そういうことのいざこざに深くは立ち入ろうと思わなかったが、それならば、と、けろり聞きのがすことも出来ないのだ。