轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
どうひょう
道標
宮本 百合子
第一部「展望」筑摩書房、1947(昭和22)年10月号~1948(昭和23)年8月号<br> 第二部「展望」筑摩書房、1948(昭和23)年9月号~1949(昭和24)年5月号<br> 第三部「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年10月号~1950(昭和25)年2月号、1950(昭和25)年4月~12月号<br> 資料「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年8、9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 846,457 字 · 1672 页
カウンターのところで始ったおかしな掛け合いが、すっかりその人々に見えもすれば、きこえもする。エレヴェーターへの出入りも、一旦カウンターの横を通らずには出来なかったから、伸子は、そこでいわばさらしものめいた立場だった。
伸子は、たくみにおかれた自分のそういう位置を意識するよりもよりつよく、白眼のどろんとしたマネージャーのおしかぶせた態度に、反撥した。
「あなたは、おそろしく率直です」
伸子は、ちっとも自分の声を低めないで云った。マネージャーの男は、伸子に向ってほとんど怒鳴っている、と云っていいぐらいの大声をだしているのだった。
「あなたのホテル経営法は、どういう性質のものだかわかりました。しかしね、わたしはホテルの室代としてきまった料金を払っています、一〇パーセントのティップを加えて。――わたしは豪奢な客ではなくても、あなたのホテルにとってちゃんとした客です」
「わたしどもは、もっとずっと多く、あの部屋から利益を得ることができるんだ」
まるで、カウンターのまわりに動いている人々に、自分のうけている損害を訴えかけでもするように視線をおよがせながら、マネージャーは大仰にこめかみのところへ手をあてがった。