轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

どうひょう

道標

宮本 百合子

第一部「展望」筑摩書房、1947(昭和22)年10月号~1948(昭和23)年8月号<br> 第二部「展望」筑摩書房、1948(昭和23)年9月号~1949(昭和24)年5月号<br> 第三部「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年10月号~1950(昭和25)年2月号、1950(昭和25)年4月~12月号<br> 資料「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年8、9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 846,457 字 · 1672 页

青空文庫

全体としてそんなことを思う自分がいやなのだった。

伸子は、

「フランシーヌ、ごめんなさい」

そう云って、テーブルから立った。

「わたしの猿が呼んでいるの。わたしは行ってつれて来なければならないわ」

ヴェルサイユ門のところで、四十分後に皆とおち会うことにして、伸子は、モンソー・エ・トカヴィユへタクシーを走らせた。風のようにホテルの表ドアをあけて入って、鍵をかりて、伸子は七階の屋根裏部屋へのぼって行った。衣裳棚をあけた。居た。白い猿は無事にまだそこにいた。

「猿さん!」

伸子は白い猿をトウィードの秋外套の胸に抱きとって一分ばかりそこのディヴァン・ベッドに腰をおろしていた。猿さん! 声に出してそう呼んだとき、伸子の心につよく素子の存在が感じられた。白い猿は、おこった眼をしているようだった。伸子は、なだめるように白い猿の、長くて真白い毛なみをなでた。おととい、佐々の一行が北停車場からモスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)へ立ってゆくとき、伸子はつや子に水色繻子で縫った袋を一つことづけた。伸子は、あわただしいペレールの家の客間で、ひまを見ては素子のためにその袋を縫った。