轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

どうひょう

道標

宮本 百合子

第一部「展望」筑摩書房、1947(昭和22)年10月号~1948(昭和23)年8月号<br> 第二部「展望」筑摩書房、1948(昭和23)年9月号~1949(昭和24)年5月号<br> 第三部「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年10月号~1950(昭和25)年2月号、1950(昭和25)年4月~12月号<br> 資料「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年8、9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 846,457 字 · 1672 页

青空文庫

十

――日本へ帰らなければならない、という必然が、伸子にはっきりしなかった。

素子は、ソヴェトへの旅行を決心したとき、かたわらでぐずついている伸子にかかずらわないで自分の出発の準備をすすめた。伸子はついて来た。

素子は日本へ帰ろうという計画を、伸子がパリにいた間に、きめたようだった。彼女の日常の万事がその方向に進められている。伸子は、やっぱり窮極には素子についてモスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)を去るのだろうか。それは伸子自身にわからなかった。伸子にわかっているのは、モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)がなおつよく自分をひきつけているという事実だけだった。素子と伸子とは、もう幾年間も一緒に生活して来たものの毎日で、とりたててそのことについて議論するというのでもなく、その問題をもって来ているのだった。

ある午後、素子は大学へ行っていて、伸子がひとりホテルの室にいたときだった。窓から、晴れた早春の空を眺めていた伸子はふっと、これから行って見よう、という気になった。この間から、伸子はしきりにトゥウェルスカヤ通りの上にあるリュックス・ホテルのことを考えていたのだった。