轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

どうひょう

道標

宮本 百合子

第一部「展望」筑摩書房、1947(昭和22)年10月号~1948(昭和23)年8月号<br> 第二部「展望」筑摩書房、1948(昭和23)年9月号~1949(昭和24)年5月号<br> 第三部「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年10月号~1950(昭和25)年2月号、1950(昭和25)年4月~12月号<br> 資料「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年8、9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 846,457 字 · 1672 页

青空文庫

「わたくしは、全く誇張されない一つのエピソードをお話しすることができます」

パーヴェル・パヴロヴィッチが、それだけのまとまった会話をはじめたということさえ、パンシオン・ソモロフの食堂では珍しいことだった。パンシオンの実際上の主人である大柄な老婦人と大柄でつやのぬけたようなその息子とは、いつも裏の部屋にだけ暮していて、パンシオンの客たちと食卓につくのは、古軍服をきた、中風症のパーヴェル・パヴロヴィッチだった。彼はテーブルで主人の席についているものの、ちっとも主人らしいところがなく、どっちかといえばその席に出されている主婦のかかりうどという感じだった。パーヴェル・パヴロヴィッチは、枯れた玉蜀黍の毛たばのような大きな髭を、二つめの胸ボタンのところからひろげてかけているナプキンで入念に拭いた。

「わたくしは、御承知のとおり軍隊につとめていまして――砲兵中佐でした。一七年には西部国境近くの小さな町に駐屯していました。われわれのところではペテルブルグでどんなことが起っているのか全然知っていませんでした。ところが、或る晩、二時頃でした。急にわれわれの粗末な営所へ武装した兵士の一隊がやって来ました。