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さこく

鎖国

和辻 哲郎

日本の悲劇

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 443,306 字 · 875 页

青空文庫

それまでの間にポルトガルの商船は一五一八年に一度来ただけであった。次にアントニオ・デ・ブリトーがやや大なる船隊をひきいて来たときには、既にスペインの船がこの海域に現われていた。かくして香料の島をめぐるポルトガルとスペインとの争が起るのであるがそれは東へ向けての探検と西へ向けての探検とが落ち合ったということ、従って未知の領域への熱烈な視界拡大の運動がここで一応のまとまりに達したのであるということ、を意味している。われわれはここまででその半分を、即ち東へ向けての探検のみを、辿って来たのであるが、ヨーロッパ人が日本へ現われたときには、他の半分の知識をもすでに十分に持っていたのである。即ち世界一周によって得られた視界の拡大が、ヨーロッパ人の真実の優越性を形成していたのであった。それを十分に理解するためにはわれわれはなお西方への視界拡大の運動を辿り、スペイン人の偉業を観察して見なくてはならぬ。

がそれは次章の問題として、ここではマラッカまで来たポルトガル人が、いかにして日本まで探検の歩をのばして来たかを見て置かなくてはならぬ。それは探検家の仕事ではなくしてキリスト教の宣教師の仕事であった。