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さんまいつづき

三枚続

泉 鏡花

「大阪毎日新聞」1900(明治33)年8月9日~9月27日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 63,572 字 · 124 页

青空文庫

ねえ、」

「はい、さようでございますよ。」

「そら、御覧なさい。」と愛吉は説破し得たりという顔であった。

「愛吉、」

「へい。」

「私が来たから可いようなもののと、お言いだがね。」

「ええ、さようさ。」

「私はそうとは思いません、」と莞爾々々する。

怪訝な顔色で、

「はてね。」

「私は巡査さんが見えたからそれで助かったと思いますよ。」

「や、成程。」

「どうだい。」

「へへへへへへ、一言もござなく、……」

続けさまに天窓を掻き、

「ですがね、お嬢さん。」

「ああ。」

「私も深川のお宅へ泣込んで参りました時のように、いつも弱くばかしはございませんぜ。あの頃は何でもこう二三人とは謂いませんや、一人でも向うへ廻して、わッというと、」

愛吉はぎょッとする仕方をして、

「もう目がくらみました。何、どんな目に合おうかと危険だから塞ぐんで、卑怯に生命が惜いと思うんじゃありませんけれども、さぞ痛かろうと、あらづもりをするんでさ。」

「まあ、」

「もっとも、何ですか、一寸さきは分らないといった工合で、からだらしがありませんでしたが、段々馴れて来てお前さん、この頃じゃあ、立身になりましょうと、喧嘩の虫が声を懸ると、それから明るくなりますぜ。