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さんまいつづき

三枚続

泉 鏡花

「大阪毎日新聞」1900(明治33)年8月9日~9月27日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 63,572 字 · 124 页

青空文庫

「ト、おもしろい談? 鯰が許のかのお米が身の上……ありゃ確もう御存じでございましたね。」

「ああ、二三度聞いたよ、可哀相だわ、おもしろくはないよ。」

「さてと、困ったな、喧嘩が禁制となって酔払いがお気に入らずとあっては、前座種切れだ。」

と吸いつけ、

「お待ちなさい、お米が身の上は可哀相と極って、長崎から強飯が長い話と極った処で、これがおもしろいと形のついた話といってはありますまい。私が一度甲州街道の府中に行っていたことがあります。

よくはやりましたが、新店で、親方というのが少いので、女房もまだ出来たてだもんですから、職人は欲しい、世話はしたいが一所に居るのはちと工合が悪い、内には妹と厄介な叔母とが居て、ちょうど別に一軒借りようという処で、家は見つかっている、所帯道具なんぞ、一式調い次第あとから繰込むとするから、私に先へ行って夜だけ泊っていてくれろとこういう話です。

宜うございますとも。早速その晩から煎餅蒲団一枚ずつ抱えて寝に行きました。木戸があって玄関まであって室数が七ツばかり、十畳敷の座敷には袋戸棚、床の間づき、時代にてらてら艶が着いて戸棚の戸なんぞは、金箔を置いて白鷺が描いてあろうという大したもんです。