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さんまいつづき
三枚続
泉 鏡花
「大阪毎日新聞」1900(明治33)年8月9日~9月27日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 63,572 字 · 124 页
あくる朝はぼんやりでどうも考えて見ると夢のよう、早い処でまず、その消えたあとのことを思出すと、何しろ真暗なんでございましょう。夢でなくッて顔色がどうの、着ものの色がどうの、髷の形がこうのと、分るわけがなかろうじゃありませんか。
夢とすると話が出来ない、いかに田舎稼に出ていたって、野郎の癖に新造の夢でもありますまい。これが山賊に出逢って一貫投げ出したとでもいう事なら、意気地がねえたって茶話にゃなりまさ。
黙っていました。
その晩、また昨夜のように、燧火だけは枕頭へ置いて火の用心に灯は消して寝たんですが。
同一刻になりますと、雨戸がカタリ、ほんの、カタリと聞えますだけなんで、縁側に跫音がしましょう。枕を上げて見たばかりで、何故だか起返る事が出来ません。
その女もしばらく立っていましたっけ、別に何という事は無しに、縁側の障子の際で、肩の辺が消えますとね、桟が見えて高島田もなくなりました。」
お夏は半ば聞棄てて、気を入れるともなく返事ばかりして、帳面をあっちこっちばらばらと返していたが、この時一点も疑う色のない顔を上げた。
「奇代だわねえ。」
「ええ、まだまだそれが三晩四晩と続きましたね、段々気味が悪くなって来るせいですか、さあ、おいでなすったと思うと天窓から慄然として、圧を置かれるような塩梅で動くこともなりません