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さんまいつづき
三枚続
泉 鏡花
「大阪毎日新聞」1900(明治33)年8月9日~9月27日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 63,572 字 · 124 页
書も能くお書きになるぜ。」
「知ッてますよ、手習師匠兼業の奴なんで、媽々が西洋の音楽とやらを教えて、その婆がまた、小笠原礼法躾方、活花、茶の湯を商う、何でもごたごた娘子の好な者を商法にするッていいます。」
「ははあ何でも屋だな、場末の荒物屋にゃあ傘まで商ってら、行届いたものだ。虱でも買いに行って捻ってやれ、癖にならあ、どうせ碌な者は売るんじゃあねえ。」と紋床は話が実で、ものになりそうな卵だと見て取ると、面白しで大に煽る。
金之助は驚いて、
「馬鹿なことを言え、罰の当った、根岸の加茂川と来た日にゃあ、歌の先生でも皆が御前々々と言う位なもんだ。宴会のあった時、出ていた芸妓が加茂川さんちょいとと言ったら、売女風情が御前を捉えて加茂川さん、朋友でも呼ぶように失礼だ、と言って、そのまま座敷を構われた位な勢よ。高位高官の貴夫人令嬢方、解らなけりゃ、上ツ方の奥様姫様方、大勢お弟子があるッさ、場末の荒物屋と一所にされて耐るもんか、途方もない。」
「何でも、馬車だの腕車だのが門に込合ってるッて謂いますね。」
「そうだろうとも。」
「何だか知らねえが癪に障るッたらないんです。」