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さんまいつづき

三枚続

泉 鏡花

「大阪毎日新聞」1900(明治33)年8月9日~9月27日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 63,572 字 · 124 页

青空文庫

ちと四角な顔で、唇は厚く、鼻は扁い、とばかりでは甚だ野卑に、且つ下俗に聞えるけれども、静に聞召せ、色が白い。

これで七難を隠すというのに、嬰児も懐くべき目附と眉の形の物和かさ。人は皆鴨川(一に加茂川に造る、)君の詞藻は、その眉宇の間に溢れると謂うのである。

かかる優美な人物が、客に達するに(はあ、)の調子で仰向くとなっては、いささか性格において矛盾するようであるが、これをいう前に、その和のある優しい一双の慈眼を(はあ、)と同時に糸のように細うしてあたかも眠るがごとくに装うことを断っておかねばならぬ。

その上にいかなればしかするかの理由を説明したら、ますます鴨川の奥床しい用意のほどが知れるであろう。

紋床でも噂があった、なおこの横町を馬車新道と称えるのでも解る、弟子の数が極めて多い。殊に華族豪商、いずれも上流の人達で、歌と云えば自然十が九ツまで女流である。

それのみならず、令夫人が音楽を教えて、後室が茶の湯生花の指南をするのであるから。

若き時はこれを戒むる色にありで、師弟の間でもこの道はまた格別。花のごとく、玉のごとき顔に対して、初恋、忍恋、互思恋などという、安からぬ席題を課すような場合に、どんな手爾遠波の間違が出来ぬとも限らぬ。