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さんまいつづき

三枚続

泉 鏡花

「大阪毎日新聞」1900(明治33)年8月9日~9月27日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 63,572 字 · 124 页

青空文庫

」と改まって尋ねられた。

「その勝山から託りましたので、奥様にもお目にかかって御挨拶を。」

「はあ、何、それなれば別にお会い下さるにも及びませんですよ、私から申聞けましょう。そして遠い処をわざわざおいで下さるにも及ばんでした、貴方御苦労でしたな、宜しくどうぞ、ちとこれから出懸けんければならんですから。」

歌人の住居も早や黄昏れるので、そろそろ蚊遣で逐出を懸けたまえば、図々しいような、世馴れないような、世事に疎いような、また馬鹿律義でもあるような、腰を据えた青年もさすがにそれと推した様子で、

「これはどうも飛んだお邪魔をいたしましてございます、勝山のあの娘も不束なものでございますから、どうぞまた先生様、何分、」と、ここでまたぴったりと平蜘蛛。

「はあ、それは宜しい、」ともう片膝を立てそうにする。

青年も座を開いてちょいと中腰になったが、懐に手を入れると、長方形の奉書包、真中へ紅白の水引を懸けてきりりとした貫目のあるのを引出して、掌に据え直し、載せるために差して来たか、今まで風も入れなんだ扇子を抜いて、ぱらぱらと開くと、恭しく要を向うざまに畳の上に押出して、