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さんまいつづき
三枚続
泉 鏡花
「大阪毎日新聞」1900(明治33)年8月9日~9月27日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 63,572 字 · 124 页
あたかもその大輪を被いだよう、絽の羅に紅の襦袢を透して、濃いお納戸地に銀泥をもって水に撫子を描いた繻珍の帯を、背に高々と、紫菱田鹿の子の帯上を派手に結んだ、高島田で品の可い、縁側を横にして風采四辺を払うのが、飛石にかかると眩くお夏の瞳に映じた。
机を置いてこれに対し、浴衣に縮緬の扱帯を〆めて、肱をつき、仰けざまの目を瞑るがごとくなるは、謂うまでもなく鴨川であった。
二人の中に、やや座を開いて控えたのは、すなわちこれ才子の御方。
お夏は蝶々髷の頃から来馴れているし、殊にその時三人が座を構えたる一室のごとき、いつも入込に教を授かる、居心の知れた座敷ではあったけれども、不断とは勝手が違った庭口から案内なしの推参である上に、門でも裏でも取ってつけない挨拶をされた先刻の今なり、来客の目覚しさ、それにもこれにも、気臆れがして、思わず花壇の前に立留まると、頸から爪さきまで、木の葉も遮らず赫として日光が射した。
才子は正面に、鴨川は横目に、貴なる令嬢を振返って、一斉に此方を見向いた時、お夏は会釈も仕後れて、畳んだ手巾を掻撮んで前髪の処に翳したのである。
応とでも言葉がかかれば、取縋る法もあるけれども、対手方はそれなり口も利かなかった咄嗟の間、お夏は船納涼の転寝にもついぞ覚えぬ、冷たさを身に感じて、人心地もなく小刻につかつか