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さんまいつづき

三枚続

泉 鏡花

「大阪毎日新聞」1900(明治33)年8月9日~9月27日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 63,572 字 · 124 页

青空文庫

金之助は腰をかけたまま、両手で椅子を圧えて卓子に胸を附着けて、

「大向うが喝采でない迄も謹んで演劇をする分にゃあ仕損ないが少ないさ、酔っぱらって出懸けてみなさい、他の酔っぱらいと酔っぱらいが違うんだよ。愛吉さん、お前が酒と連立ったんじゃ、向上から鴨川で対手になってくれやしない、序幕に出した強談場だし、若干金かこっちから持込というのだから、役不足だったろう、まあ飲むが可い、」と笑っている。

「どういたしまして相済みません、私あね、先生、書生や車夫なんぞが居るてますから、掴出す位なことはするだろうと思ってね、そうしたら一番撲倒しておいて、そいつを機に消えようと思ったんだが、まるで足腰が立たねえんです。まだね先生、そりゃ可うございますが、彼奴等人を狂人にしやあがってさ、寄付きゃしませんでした、男ごかしだの、立ごかしだのは幾らもあるんだけれど、狂人ごかしは私あはじめてなんで、躍るような手つきで引上げて参りましたがね、ええ、お羽織はお返し申します。」

愛吉は胸紐を巻込んで、懐に小さく畳んで持って来た、来歴のあるかの五ツ紋を取出して、卓子の上なる蘇鉄の鉢物の蔭に載せた、電燈の光はその葉を透して、涼しげに麦酒の硝子杯に映るのである。