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さんまいつづき

三枚続

泉 鏡花

「大阪毎日新聞」1900(明治33)年8月9日~9月27日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 63,572 字 · 124 页

青空文庫

「話せらあ、話せらあ、こいつあ話せらあ。無暗に飲めます。」と愛吉はがぶりがぶり、狼と熊とが親類になったような有様で。

「理窟はないとおっしゃいますがね、先生、時と場合と代物に因るんですよ。何も口の端を抓られるばかりが口惜いというんじゃアありません、時に因りますとね、蚊が一疋留まったのが蝮に食われたより辛うございます。私あね、親孝行な奴が感心だというんじゃあねえんで、へい、不孝な奴でも豪いといいます。へい、盗人だって気に入るのがあるし、施をする奴に撲倒してやりたいのがありますね。不動様は贔屓ですが、念仏は大嫌。水ごりを取ってそれが主人のためなんだと聞いたって、びくともしやあしねえんで、お三どんが皸を切らしたってそれが不便というんじゃありません、そんなのははじめッからその気でつき合っているんですからね、甘いことをいうと附上りまさ、癖になりますからね、酢をぶッかけときゃあ可いんです、べらぼうめ、ヘッ、」といって、顔を顰め、

「無法なことをいうと吃逆を出させるぞ。ヘッ、不可え、ヘッ、いやどうしやがった、ヘッ、何のこッたい、ヘッ驚きましたな。先生、そ、それですがお夏さんの団扇じゃあ恐しく胆がえました、理窟はねえんです、いえ、理窟がねえんじゃあございませんや、けれどもその理窟は分りません。