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さんまいつづき

三枚続

泉 鏡花

「大阪毎日新聞」1900(明治33)年8月9日~9月27日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 63,572 字 · 124 页

青空文庫

」

「成程、」

「その度に微傷です、一年三百六十五日、この工合じゃあ三百六十五日目に、三百六十五だけ傷がついて、この世を宜しく申させられそうで、私も、うんざり。

様子を聞くと、伝がこの事を意趣にして、子分子方の奴等がしょっちゅう附け廻すんだそうですから、私あ堪らなくなって、舟賃を一銭出して、川尻を渡って佃島へ遁げました。

佃島には先生、不孝者を持って多いこと苦労をする婆さんが一人ね、弁天様の傍に吝な掛茶屋を出して細々と暮しています、子に肖ない恐しい堅気なんで。」

「何だい、それは、」

「私の母親でございます。」

「それだもの。」

「へへへへ、今更いたし方がありません、そこへ転がり込んで、居縮まって震えてたもんですから、愛吉どうしたんだって、母親が尋ねます。

これこれだといいますとね、それだから常日頃いって聞かさないことではない、蟻じゃあなし、毛虫じゃあなし、水があったって対手は渡って来ます。しかし……鯰の伝……それならば死んだ父爺が御恩になった深川の勝山さんへ出入をするから、彼家へ行って、旦那様にお頼み申して、伝にいい聞かしておもらい申して、お前の身体を無事なよう計らいましょうと、父爺が亡くなってからも暑さ寒さにゃあお見舞を欠かしたことがないという、律儀はこんな時用に立ちます、で母親が取りあえず。