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さんまいつづき

三枚続

泉 鏡花

「大阪毎日新聞」1900(明治33)年8月9日~9月27日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 63,572 字 · 124 页

青空文庫

考えて見るとそれなんですが、不意に打つかった時はこの世のことじゃあないように思いましたよ。」

「大分涼しくなって来た。」と金之助は袖を合せて、想い出したように言いつつも、頷き頷き聞くのである。

「へい、凄いような雨でございましたね、私あどうなるんだ知らんと、お話をいたします内に気が変になりましたっけ、可い塩梅でございます。

いいえ、私ばかりじゃあなかったんで、火事場では、官女が前後を取巻いて、お夏さんが東の方に、通ったと謂う評判で、また勝山が焼けるちっとばかり前、緋の袴を穿いた素白な姿の者が、ちょうどその屋根の上あたりを走るのを、汐見橋の上で見た者がある、前兆だなんて種々なことを謂ったもんです。

ようよう夜が夜の色になって、湿っぽい風が吹いて来ると、御新造様、それから旦那が、あとさきになって、女中が三人、私とお夏さんと、お雛様と軍鶏の居るそこの埋地へお見えなさいましたが、どなたも箸一本持っちゃあいらっしゃらないんで、追々集った、番頭小僧、どれも不残着のみ着のまま。

もっとも私が二階を飛下りると、入違いに旦那と御新造様がお夏さんの処へ駆け上んなすったッけ、傍に居た女中は助けてくれというんでしょう。