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さんまいつづき

三枚続

泉 鏡花

「大阪毎日新聞」1900(明治33)年8月9日~9月27日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 63,572 字 · 124 页

青空文庫

」

「うう成程、雄鶏だっけの。」

「御串戯、」

「これはやられた。」

「皆様笑いごとじゃアありませんぜ、火に障るっていうのじゃアありませんか、ねえ御隠居。」

「されば……謂うて。」

「御隠居さんなんざ歯に障りましょうね、柳屋のは軍鶏だから。」

「誰だ、交ぜるない、嘉吉が処の母親さえ、水天宮様へ日参をするという騒だ。尋常事じゃあねえ、第一また万に一つ何事もないにした処が、心持が悪いじゃあねえか、宵啼なんて厭なものだ、ほんとうにどうにかしようじゃあねえか。」

「どうするッて、殺しっちまえば可いんでしょう。」

「そうだとよ。」

「それはもう禍の根を断つのだから、宵啼をする鶏は殺すものとしてあるわさ。」

「そこで、」

「謂ったってあの女が肯くものか、どうして可愛がることといったら、」

恐しく声を密めて、

「御隠居の前ですが、お内の猫ぐらいなものじゃアありませんぜ。」

「まずの、」とあやふや。

「だから差配さんに懸合ってもらってよ。」

「その差配さんが今謂う杖だ。」

一段声を張上げて高らかに策を献ずるものあり。

「交番々々。」

「馬鹿をいえ、杖でさえ不可ねえものが、洋刀で始末におえるかい。構うこたあない、皆で押懸けて行ってあの軍鶏を引奪くッてしまうとするだ。