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ふれんぞくさつじんじけん
不連続殺人事件
「日本小説 第一巻第三号~第二巻第七号」1947(昭和22)年8月1日~1948(昭和23)年8月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,047 字 · 322 页
ねしずまった夜更けと云っても、この滝の音だから、相当な音でなければ聴えやしない。人の跫音はきこえなかったから、出る音だか、入る音だが、分りゃしなかったが」
博士はうなずいて、
「なるほどね。犯人氏なら手荒な鍵音はさせんでしょう。宇津木さんでしょうかね。じゃア、奥様はズッとここに寝んでいらしたのですね」
思いがけない質問に一馬はビックリして、
「ええ。おとといも、ゆうべも」
「そして、歌川先生は暁方の三時まで仕事をしていらしたのですね」
「そうです。然し、おとといのことですよ。ゆうべは、もっと早くねました」
「暁方の三時まで、奥様はズッとやすんでいらしたのでしょうね」
「全然、ねむり通しです」
「やれやれ。すると、ここに、ようやく一人、アリバイの成立つ御方が現れたのです。そのほかの方には、どなたにも犯人でない証拠はない。珠緒さんに至っては、まるでもう、殺されるには誂え向きの特別席に寝ていたようなものですもの。場所と云い、条件と云い、殺してくれと云うようなものでさ。歌川先生のお母様の御命日はいつでしたか」
この最後の一言に一馬は顔色を変えて、当惑しきって暫しは言葉を失っていたが、