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ふれんぞくさつじんじけん

不連続殺人事件

坂口 安吾

「日本小説 第一巻第三号~第二巻第七号」1947(昭和22)年8月1日~1948(昭和23)年8月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,047 字 · 322 页

青空文庫

僕はともかく、京子は身ぶるいするだろう。それは出来ない相談だね」

「然しね、まア、もうちょッと我慢して、きいて欲しい。君にだけは、すべてを打ちあけてお話するつもりなのだから。僕の精神上の極めて雰囲気的なお伽話もあるし、それから、いささか通俗的な犯罪実話もある」

彼はポケットから一枚の封書をとりだした。

「見てごらん。こんなイタズラをしかける奴があるんだ」

ごく有りふれたレターペーパアに、次のように書いてある。

お梶さまは誰に殺されたか。

すべては一周忌に終るであろう。

憎しみも呪いも悲しみも怒りも。

巧い字じゃない。然し手蹟を隠して書いた字だろう。安物のインクを使い、シミがたくさんできている。スタンプによる発信地は、近くの町で、東京から行けば、その町で汽車を降りることになる。彼の家は更にそこから七里ほどバスで山径を走らねばならぬ。然しともかくこの田舎町は彼の村から最も近い都会であり、村人の買い物は概ねこの町を利用し、間に合せる。

「これは然し、ハイカラな文章じゃないか。ハイカラ以上に、文学的だな」

「この手紙は僕に宛てたもので、犯人を誰とも書いてないけれども、僕に宛てたところをみると、僕を犯人に当てているのかも知れないね。