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ふれんぞくさつじんじけん

不連続殺人事件

坂口 安吾

「日本小説 第一巻第三号~第二巻第七号」1947(昭和22)年8月1日~1948(昭和23)年8月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,047 字 · 322 页

青空文庫

「なぜ裏門までお乗せしなかったのだ」

「そこから下り坂になりますで、もう、たくさんだ、おりると仰言ったでがす。下り坂は乗り心持が悪うがすから」

「それに違いはありませんか、土居さん」

「僕は知らないね。僕はとっくに車の後押しはやめたからさ。火葬場からの谷を上りきるまで四五町のところを押しまくってやっただけさ。あれからは、曲りくねっているだけで、コーバイのないただの道だアね。二人の若い衆がただの道をひっぱる車の後押してえのは、ダットサンの後押しとあんまり変らないことだアね」

「車と一緒にいらっしゃらなかったのですか」

「車はすごい速力ですよ。ハズミがついていやがるからさ。ガラガラ曲って忽ち見えなくなったよ。僕が三輪山の別れ径へきた時は、セムシの姿は見えなかったね」

「どなたか内海さんを山で見かけた方はありませんでしたか」

答える者がなかった。

「土居さんが戻られた時、内海さんは戻っていましたか」

「いいえ、僕が一番さ。内海が二番目、それからあとはもう知らないよ。僕は見張りをしているわけじゃないからな」

「あなたが帰られたときは何時でしたか、分りませんか」

「こいつは難問だ。