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ふれんぞくさつじんじけん

不連続殺人事件

坂口 安吾

「日本小説 第一巻第三号~第二巻第七号」1947(昭和22)年8月1日~1948(昭和23)年8月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,047 字 · 322 页

青空文庫

ただ会いたいということを、チミモウリョウだの不美人とセムシの密会などと仰言るだけですわ。あの方は醜婦にささげる詩とかいうのを本当にイノチをこめて書くつもりでいらしたのですもの。千草さんはその詩のための存在でしたわ。千草さんのために詩をお作りではなかったのですわ」

「なぜ分るんだ。そんなことが」

と、ピカ一が軽蔑しきった言葉を浴せた。

「いったい、その詩は書きだしていたのかい。警部さん、内海の原稿しらべましたか」と、人見小六がきいた。

「さア、原稿は一応しらべましたが、私はその方の門外漢ですから。巨勢さん、その原稿はありましたか」

「ありました。然し、ただ題名が書いてあっただけのようです」

カングリ警部はそこで態度を改めて一座を見まわした。

「昨晩は大変お賑かだったということでしたが」

と、笑いを含んでピカ一をジロリと見たが、ピカ一は知らねエよとばかり、ソッポをむいた。そこで警部はあやかさんに目を転じる。あやかさんは昨晩の負傷で、膝小僧や二の腕や肱や手の指にホータイしており、困りきった顔付であるが、この人は美人の天性というのか、どんな時でも一応どこかユトリがこもっているという感じ、いつも冴え冴えとした印象を与える。