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ふれんぞくさつじんじけん
不連続殺人事件
「日本小説 第一巻第三号~第二巻第七号」1947(昭和22)年8月1日~1948(昭和23)年8月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,047 字 · 322 页
「なぜ、そう思いますか」
「土居画伯があそこにガンバッていたんじゃア、よしんば現在土居さんは記憶がないと仰言るにしても、それを当にして人殺しにでかけるワケにゃ行きませんでしょうからな。それとも犯人は酔っ払いの心理を承知の上で悠々と仕事をしたものでしょうかな」
「仰言る通りかも知れません」
とカングリ警部は却々ねれた人物で、我々に捜査のシッポを見せることが全然ない。私は然し巨勢博士からきくことができたが、犯人は外から来た形跡はなかった。少くとも部屋の窓からは来ていなかった。
この犯人は、窓から来たか、扉から来たか、そういう点に細工を弄することが全然なくて、変な小細工を施さないだけ、むしろ手掛りがないのであった。細工を施すほど、むしろ心理の足跡を残しているわけで、私のような小説書きには御し易いようなものであるが、それがないので、素人探偵のとりつく余地がないのであった。
以上の質問が終ったのちに、カングリ警部は狙いの本筋をきりだした。
「さて、皆さん、御承知の如く、一軒の家で、三日にわたって四人の殺人が行われたということは、日本に於て空前のことであります。かかる場合に同一邸宅の居住者である皆様が、その平素の淳良な生活にも拘らず、一応のケンギをまぬがれ得ないことは、法治国の合理だろうと思います。