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ふれんぞくさつじんじけん
不連続殺人事件
「日本小説 第一巻第三号~第二巻第七号」1947(昭和22)年8月1日~1948(昭和23)年8月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,047 字 · 322 页
もっとも、古今東西、案外、実際には、そんな殺人は行われていないかも知れません。ひとつには、人を殺したからって、自分の才能がますワケじゃアないからですな。文士の嫉妬は、名声の問題じゃなく、才能の問題だから、殺して自分の才能がどうなるワケでもないとすりゃ、案外、こんな殺人はめったに起らないのが自然かも知れません」
「なるほど、まったくそうかも知れません。何芸によらず、芸の嫉妬で人を殺す、有りそうで、殆どきかないものですからな。なるほど、殺したところで、自分の才能に変りがなけりゃ、殺したところで仕方のないようなものですな。ところで、大変失礼な質問ですが、皆さん、こうして事件の渦中に生活していらっしゃる。それも一度の事件じゃなしに、三日もつづいて、皆様の御知り合いの方々が四人もつづいて殺される。別に岡ッ引根性という奴じゃなくとも、誰しも心に自然に疑り、思い当るようなことがお有りだろうと思いますが、これは私の邪推でしょうか」
「それはまア、誰しもいくらか素人探偵的な気持にならざるを得ないでしょうな」
「いや、ごもっともです。人間の自然の気持が当然そういうものでしょうな。