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ふれんぞくさつじんじけん

不連続殺人事件

坂口 安吾

「日本小説 第一巻第三号~第二巻第七号」1947(昭和22)年8月1日~1948(昭和23)年8月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,047 字 · 322 页

青空文庫

とピカ一は胸をたたいて、

「まったく加代子さんの美しさ静かさ深さに比べると、あやかなどという女は、孔雀の羽をつけた何んとかというアレですよ。失礼ながら、女流流行作家宇津木秋子さんといえども、その魂の在り方、位置の正しさ、魂の悲劇的な深さ、静かさ、それに於て、はたして聖処女加代子さんにまさるところが有るのかなア。いや、失礼、あえて美貌の青鞜詩人を怒らせてまで、加代子さんを讃美する私の純情というものは、われながらアッパレなものじゃないか」

「いえ、ピカ一さんの純情は誰方にもまして私が認めておりますのよ」

と、宇津木さんが、赤らみながら、目にいっぱい媚を湛えて言った。

「加代子さんなら、どんなに讃美なさってもよろしいわ。本当に私なんかは女のクズのようなものですから」

「いや、秋子さん、相すみません。あなたの公正寛大な気質に就ては、かねて知りつくしているのですよ。そこに甘えているのですな。寛仁大度、あなたは、まったく、ワタツミのような青鞜詩人でいらせられる」

「こんなとき、せめて内海さんが生きてらっしゃると、何か一言、ピカ一さんをやりこめることを言って下さるのでしょうに、ほんとに、にくらしい方ね」