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ふれんぞくさつじんじけん

不連続殺人事件

坂口 安吾

「日本小説 第一巻第三号~第二巻第七号」1947(昭和22)年8月1日~1948(昭和23)年8月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,047 字 · 322 页

青空文庫

「内海だったら、さしずめ、にくらしいネとは、人間的だな、というような事を言いやしませんか」と、人見小六が秋子さんの方を冷かした。

「人肉的というのさ」

と木ベエも不興げな顔を女房の反対側にそむけて言った。

「オレは女房を肉慾的にさげすむ御仁は軽蔑するな」

とピカ一はすましたものだ。

そのとき、あやかさんが立って隣席の京子に何かヒソヒソささやいていたが、二人で立って食堂を出て行った。

数分ののちに戻ってきて、京子が私のところへ来て、

「あやかさまと御不浄へ行ってきたのよ、一人じゃ怖いからと仰言って、私も一緒に行ってあげたの。そしたら、庭の奥を人が隠れる姿が見えたと仰言るのよ。なんだか、怖いから、あなた、見て下さる」

あやかさんから一馬に話したものと見えて、一馬も立ってきた。私も立って巨勢博士をよび、あやかさんの案内で、母屋と洋館をつなぐ廊下の便所へ行った。洋館の階下の便所は内海の惨殺された隣りだから、御婦人連がそこを避けるのは当然であった。すると、廊下の外、母屋の表座敷の方に人影があるから、誰何してみると、ヨミスギ先生である。

「あら、刑事さんでしたの」

「ハア、ちょッとブラブラ何となく警戒致しておるのです」