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ふれんぞくさつじんじけん
不連続殺人事件
「日本小説 第一巻第三号~第二巻第七号」1947(昭和22)年8月1日~1948(昭和23)年8月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,047 字 · 322 页
一松の妻女はお由良婆さまとよばれ、歌川多門の実の妹だ。この人も半病人で、生来の虚弱からヒステリーの気味で、お梶さんとは特別折合いが悪い。多門という人は特に肉親の情熱などはないけれども、世間並のことならなんでも鵜呑みに気にかけないタチだから、妹一家が疎開する、よかろう、面倒みてやれ、病気になった、よかろう、手当をしてやれ、それだけのことで、大きな家で金も物資もあり自分の邪魔になるところは何一つないから、ちっとも気にかけない。そんな人間共が寄食していることも忘れている。けれども女はそうはいかない。別してお梶さんは後妻で、多門の子供みたいの年で、昔から反目していたから一緒に住むと巧くいかない。
お由良婆さまの子供は男一人女四人だが、男は技術家で外地へ行っており、この戦争に潜水艦で死んだそうだが、女は二人死んで一人は嫁に行って満鉄にいる。末娘だけが未婚で、一緒に疎開しているのだが、お梶さまの娘の珠緒さんとこの千草さんが犬猿ただならず仲が悪い。珠緒さんは美人だが千草さんは以ての外の不美人で、目がヤブニラミでソバカスだらけ、豚のように肥っている。肥っているのに神経質で意地悪でひねくれており、ヒガミが強いから、奔放な珠緒さんの意味のないことまで悪意にとって恨んでいるから、珠緒さんは腹に物をためておけないタチでガラガラピシャピシャ