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ふれんぞくさつじんじけん
不連続殺人事件
「日本小説 第一巻第三号~第二巻第七号」1947(昭和22)年8月1日~1948(昭和23)年8月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,047 字 · 322 页
「オイ、医者をよべ。何をグズグズしているか。早く、医者をよべ。分らないのか。畜生め。やい、てめえら、何をボンヤリ。オイ、医者をよべと云ったら。バカヤローめが」
京子と一馬がとんで行ってカイホーする、海老塚医師は意外にもすぐ現れて、一二分、脈をとると、すぐ、首をふって立上った。
そのとき、錯乱した破れ鐘のようなピカ一の声がとどろいた。
「動くな。外へ出るな。テーブルの上のものを動かすな。加代子さんは毒殺されたぞ。オレの身代りに殺されたんだ。畜生! オレに毒をもりやがったバカヤロー。みろ! 死んだのは加代子さんだ。椅子につけ。元の位置につけ」
ピカ一の狂暴な目はランランと燃えて、あやかさんにそそがれていた。彼は憤怒に亢奮して、肩ではげしく息をしている。
そのとき、下枝さんが戸惑ったように扉をあけて現れて、
「海老塚先生はいらっしゃいますか」
海老塚は顔をあげて、訝しげに振向いた。神山東洋が大きな声で、
「おりますよ」と答えると、
「すぐ来ていただきたいのですけど。旦那様の御様子が変で」
そう云いながら、倒れている加代子さんに目をとめて、もう少しで失神しそうに、こらえている様子であった。