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ふれんぞくさつじんじけん

不連続殺人事件

坂口 安吾

「日本小説 第一巻第三号~第二巻第七号」1947(昭和22)年8月1日~1948(昭和23)年8月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,047 字 · 322 页

青空文庫

神山東洋の大きな声が弔鐘のように無気味にとどろいた。

「八時十四分」

附記 伊東の住人尾崎士郎先生、訪客に告げて曰く、坂口の探偵小説は、ありゃキミ、犯人は「私」にきまってるじゃないか。坂口安吾の小説はいつも「私」が悪者にきまってらア。だから、ハ、犯人はアレだ、「私」だよ、ウン、もう、分った。オイ、酒をくれ。

三鷹の住人太宰治先生、雑誌記者に語って曰く、犯人はまだ出て来やしねえ。最後の回に出てくる。たった一度、なにくわぬ顔をだす、そいつだよ。きまってるんだ。最後の回にたった一度、何くわぬ顔のヤツ。オバサン、ビール。じゃんじゃん、たのむ。

この両探偵は作者の挑戦状を受けるだけの素質がない。一目リョウゼンだから、細説は略す。

最も勇敢無類なのが、九州の四丁鼻先生。彼は遥々上京のついで拙宅へ現れ、

「いいですか、坂口さん、僕が今、犯人を当てきると、あとが書けなくなるです。それでも、あなた、僕の言葉、ききますか。言うていいですか」

前ぶれは大袈裟なものだが、何のことはない。ある人間が筋書をたてる、それを全然別の人間がひそかに実行する。やれやれ、それは「Yの惨劇」