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ふれんぞくさつじんじけん
不連続殺人事件
「日本小説 第一巻第三号~第二巻第七号」1947(昭和22)年8月1日~1948(昭和23)年8月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,047 字 · 322 页
我々の無能、まことにザンキに堪えませんが、我々の相手は、まさしく、悪魔の中の天才であります」
カングリ警部もどうやらいささか昂奮の気味で、平素の冷静を失い、満々たる闘志、年がいもなく気負っている。
「今夕、異なる場所に於て同時に二つの殺人が行われましたが」
「二ツ?」
宇津木秋子女史が思わず叫んだ。カングリ警部はうなずいて、
「左様、二ツ。歌川多門氏とお加代さん。然し企らみの行われましたところは、この一劃です。つまり御二方ともに、食物に混入された毒物によりますもので、お加代さんは青酸加里、歌川多門氏はモルヒネによって殺害されました」
これには全く驚いた。多門老人はコーヒーではなく、プリンの中へ混入されていたモルヒネで死んだというのであった。
先ず坪平夫妻が訊問されたが、多門老人は獣肉をさけており、魚肉もごく淡泊なものに限って用いる例であるから、我々とは献立がちがっている。この日は鮎の塩焼、鯉のアライに、吸物、ヤッコ豆腐、オシタシという献立であった。
多門老人の夕食には、食後にプリンをたべる。昼食にはゼリーであるが、これはこの春以来あやかさんが作ることになっていた。