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ふれんぞくさつじんじけん

不連続殺人事件

坂口 安吾

「日本小説 第一巻第三号~第二巻第七号」1947(昭和22)年8月1日~1948(昭和23)年8月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,047 字 · 322 页

青空文庫

カングリ警部はうなずいた。

「十二時二十分から四時までの間に、誰か砂糖壺に手をふれた方がありましたか」

坪平は恐縮して、

「手前は、どうも、一向に、へい、注意も致しておりませんで」

「ずッと食堂にいなかったかね」

「へい、昼休みに部屋へ退りまして、手前は、三時ごろまで一服致しておりましたが、女房は後始末に一時半ごろまでは調理場におりましたかと存じます」

「ハイ、皿洗いを致しておりました。神山様の奥様が手伝って下さいまして、お部屋へ退りましたのは、一時半ごろでございます」

「その間に、どなたか調理場へ見えた方があったかネ」

「御昼食のあとは皆様オヒルネをなさいますようで、三時ごろまでは、調理場へお見えの方はめったにございませんです。三時すぎに私どもが調理場へでましてからは、奥様はじめ、宇津木様、矢代様の奥様、丹後様、神山様の奥様、色々お見えになりましたが、砂糖壺に手をふれた方は御一方もございません」

「一時半から三時までは、調理場は無人だったわけですね」

「左様でございます。ただ、二時ごろでしたか、鮎が到来いたしましたそうで、諸井さんが届けて下さいました」

「あなたがそれを受取ったのですね」