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ふれんぞくさつじんじけん
不連続殺人事件
「日本小説 第一巻第三号~第二巻第七号」1947(昭和22)年8月1日~1948(昭和23)年8月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,047 字 · 322 页
「つがれておりました。お砂糖もミルクも、調理場で入れて、ここへ運んで、並べているところでした」
カングリ警部は食堂からピカ一と加代子さんの茶碗をとりよせて、ゆっくり眺め廻していた。ピカ一の茶碗のフチは一ヶ所はやや大きく、一ヶ所は小さくかけていたが、加代子さんの茶碗は二ヶ所に大きく、二ヶ所に小さくかけていた。
カングリ警部は顔をあげて、女中の八重を見た。
「どっちの茶碗が土居さんの専用だね」
「ハイ、そっちです」
と、まちがいなく、かけ目の少い方を指して答えた。
「ほかにカケ目のない茶碗はないのかね」
「ハイ、ございません。戦争中からいくつとなく割りましたまま、新しく買ったことがございませんので」
警部はうなずいて、
「近ごろは安物ばかりで、おまけに目の玉のとびでる値段だからね」
それから、私と一馬に向って、
「あなた方も、そこのテーブルの上のコーヒー茶碗を見ましたか」
私たちも、うなずいた。
「そのほかに二三人、お立ちになった方があるそうですが、どなたでしたか」
「私が立ちましたよ」
と神山東洋が答えた。つづいて木ベエが、僕も、と答えた。
「あなた方もテーブルの上のコーヒー茶碗を見ましたか」